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ストックオプションとは?制度とメリット・デメリットを詳しく解説!

近年、日本の企業でもストックオプションや持ち株制度などを導入している会社も増えてきました。

特に、スタートアップ企業やユニコーン企業など、今後成長する可能性が高いが、人的リソースが十分間に合っていないような企業は、ストックオプション制度や持ち株制度を使い、外部から優秀な人材を引っ張ってくるケースが多いです。

かくいう私も、ベンチャーに転職した際にはストックオプションをちらつかされ、半ば強引にヘッドハンティングされた経験があります。(悪く聞こえますが、結果的にはビジネスの考え方が広がったのでOKです)

そんなストックオプションについて、どういう制度なのか?また、メリットデメリットをご紹介したいと思います。

この記事を見ている方は、もしかすると転職を検討していたり、起業を考えている方もいるかもしれませんので、参考にしていただき、今後のビジネス活動に役立てていただけると幸いです。

株式会社とは?

まずは、株式会社について説明します。

株式会社にはその名の通り株というものが存在しています。

これは、創業時に出資をした分だけの株式が発行され、出資した方が出資額相当の株式を保有しているという状態です。(よく、資本金1000万円とかホームページで見たことあると思いますが、それのことです)

そして、会社を経営していくと、売上や利益が増大していき、会社の規模がどんどん大きくなっていくとします。

すると、オーナー会社(自分1人で全ての株を保有し、決定権も100%自分にある状態。日本の中小企業はほとんどがそれです)ではなく、

パブリックカンパニー(この時点で、自分以外の株保有者がいるという状態。つまり、先述した資本金が1000万円から1億円、10億円と増えていく=自分以外の出資者がいるということ)

になる必要がある時がきます。(厳密にいうと、そのオーナーのビジョン(将来目指すべき姿)が壮大であればあるほど、自分1人の力ではどうしようもなくなるので、周りの人を巻き込んで会社を大きくし、社会に還元しよう、という流れが本来あるべき姿です。)

そうやって、株式を保有する人が増えるとどうなるのか?資本金が増えるため、キャッシュが一時的に多くなります。

すると、そのお金を使っていろんな投資(研究やヒトの補強、広告宣伝費など)をおこない、さらに企業価値を高めるようにします。

そして、ある程度企業価値が見えてきたところで、IPO(いわゆる、上場です)やバイアウト(会社を売却すること)などの、EXIT(出口)に向かい始めます。(本来は、出口から逆算して企業運営をおこなうモノですが)

企業価値が1000万円だったのに対し、5年後には1億円になったとします。

単純に10倍ですよね?10倍になった時点で、株式を手放す(売却する)ことで、その差額を得ることができます。(キャピタルゲインと言います)

世の中で株を売ったり買ったりしている人たちは、単純にこれらを繰り返しおこなっているのです。

もちろん、どの会社の株を買うかというのは大事なポイントです。

なぜなら、会社はゴーイング・コンサーン(永久に続く)を前提としていますが、やはり競争に負けて倒産する会社も存在します。

そういう会社の株を買ったとしたら、全てが水の泡になり、1円も戻ってきません。

また、IPOをおこなった会社の株は、一般公開されており、みなさんが自由に売買できますが、基本的には株価が大きく変動することはありません。(安定傾向にあります)

そうなると、大きなリターンを得るためには、大きな投資をしなければならないので、一般の方には少しハードルが高いかもしれません。

逆に、ベンチャーやスタートアップ企業の株を買うと、EXITの際の利幅が大きくなり、リターンも大きい可能性が高いです。(もちろん、リスクも同じ大きさです)

かと言って、ベンチャーやスタートアップ企業の株を購入すること自体がハードルが高いです。

話が長くなりましたが、株式会社は会社を成長させ、企業価値を高めてIPOを目指す、または他の誰かに会社を売却する、という選択肢がある、ということを覚えておいてください。

もちろん、中小企業のようにオーナーとしてずっと会社を運営していく、という選択肢も大多数です。

ストックオプションとは?

さて、本題に入ります。

ストックオプションという言葉自体、あまり聞きなれないかもしれませんので詳しく解説します。

ストックオプション制度とは会社があらかじめ定めた価格(権利行使価額)で自社の株式を購入できる権利を、従業員や役員に付与する、という制度です。

もちろん、購入できる期間や量には一定の基準がありますが、その範囲内であれば好きな時に自社株を購入することができます。

例えば、Aカンパニーがストックオプションを導入したとします。現在のAカンパニーの株価は1株1000円です。

みんなで協力し、3年後に企業価値を高めることに成功し、1株あたりの株価が5000円になりました。5倍です。

本来であれば、その時点で株を購入すると、1株5000円で購入しなければなりませんが、ストックオプションは一番初めに付与された時の金額で購入できる権利ということなので、1株1000円で購入できる、ということになります。

つまり、プラス4000円の利益を得ることができ、その時点で購入後すぐに売却すれば、4000円×500株(購入株数)=2,000,000円が利益となります。(税金は考慮していません)

先述しましたが、これをキャピタルゲインと言います。

ストックオプションはインセンティブ の一つ

ストックオプションの権利を行使するかしないかは、その人の自由ですし、行使するタイミングも規定の範囲内であれば、比較的自由です。

このストックオプションは、スタートアップ企業などの給与面での待遇が良くない状態であっても、良い人材を獲得したい時に、インセンティブを目的として活用するケースが多いです。

年収は400万円とそこまで多くない条件で優秀な人材を獲得するために、将来のキャピタルゲインを得てもらい、結果的には大きなリターンを約束する、という従業員に対してのインセンティブです。

もちろん、企業が必ず成功するという保証はないので、ストックオプションを付与してもらっても全くもらえない可能性がありますし、もらえても雀の涙程度という場合もあります。

それでも、自分たちの会社は自分たちで大きくする、その結果自分に対しても大きなリターンがある!という思いになり、ある意味それぞれの目的が一致し大きな原動力になる可能性があります。

ストックオプションのメリット・デメリット

ストックオプションにもメリット・デメリットが存在します。

これは、会社側のメリットデメリットと、従業員側のメリットデメリットがありますので、それぞれ解説します。

【会社側のメリット】

・財務に余裕がない状態でも、ストックオプションを条件に優秀な人材を集められる可能性がある。

会社側のメリットとしては、これが一番大きいです。

良い人材を獲得したいけど資金的に余裕がない状態は、スタートアップではよく見受けられます。

そんな際に、ストックオプション制度を使って、良い人材を獲得できる確率を上げる、ということです。

【会社側のデメリット】

・権利行使した時点で、報酬を手にした人が外部に流出する可能性がある。

株式を売却した途端、自分にとっての会社で働く意義を見失う人も多いです。目的が会社の理念を達成することではなく、売却によるリターンに変換してしまい、売却した瞬間に退職するなんてこともあり得ます。

・株価を意識しすぎて、従業員の士気にも影響する。

株価を意識することは大切ですが、株価の変動を意識するあまり、株価によって社員の士気が左右されるという本末転倒なことが起きかねません。(管理が難しくなります)

【従業員のメリット】

・将来的に大金を手に入れる可能性がある。

企業価値が上がることで、保有している株の価値も高まり、最終的に大きな利益を獲得する可能性があります。

・自分の頑張りが直接報われる(正当に自己の利益に反映される)

会社に貢献しているということが目に見えて分かるので、本人のやりがいにもつながります。

【従業員のデメリット】

・目的が株式売却になってしまう。

会社側のデメリットにもありましたが、会社の理念ではなく株式を売却することが目的になってしまうことは従業員にとっても良い影響とは言えません。

ストックオプション導入の注意点

良い話ばかりに聞こえますが、導入する際には注意が必要なこともあります。

付与基準を明確にする

ストックオプションを誰にどれだけ付与するのか?という基準を明確にしていないと、Aさんは付与されたがBさんは付与されていないなど、従業員の中で混乱、最悪の場合反乱が起きる可能性があります。

ストックオプションを付与する基準を明確にし、誰が見ても文句の出ないように認識を合わせることはとても重要です。

資本政策を綿密に

将来的にIPOを目指したりする場合は特に、ストックオプションを含めた株主構成をしっかり考えて付与しなければなりません。

よくある例ですが、第三者の株主を多く入れすぎたあまり、自分が保有している株式数が少ししかなく、結果的に大きなリターンがなかったなど、資本政策をしっかり考えなかった結果、これまで引っ張ってきた社長が一番取り分が少なかった、ということがあります。

ストックオプションもそうですが、顕在株式になった時点で株主になります。

特に、IPOを目指しているのであれば、議決権などを含めた法律の観点からも株主構成、比率を考え、誰にどれくらい付与するのかを十分検討し、付与することをお勧めします。

まとめ

ストックオプションの制度は、日本の企業が世界で戦えるために必要な制度だと思います。

特に、人的リソースで悩む企業が多く、どの企業も常に人材を欲しがっているのも事実です。

また、M&Aという考え方(合併・買収)も少しずつ日本にも浸透してきており、自分で創った会社を売却し、また新しい会社を創るなど、イノベーション企業家が増えることが必要であり、その時にストックオプション制度があれば、優秀な人材を獲得しやすくなります。

株で億万長者になったという有名な話で、ホーム家具や雑貨を販売しているニトリの役員の方がおっしゃっていましたが、まだニトリが無名の時代に株を付与され、それを保有し続けた結果上場し、いつの間にか保有株式が数億円になっていた、とのことです。

また、最近の話ではVtuberの「にじさんじ」が時価総額1600億円になり、役員以下株を保有していた人たちは、数億円を手にすることができる、という話もありました。うらやましいですね。。。

これから起業を考えている人や、転職でどんな会社に転職しようと考えている人、また新卒でどの会社に行こうと考えている人は、スタートアップなどの企業にも目を向けて、ストックオプション制度がある、という条件にのっかかってみるのも一つの選択肢かもしれません。

数年後には、億万長者になっているかも?しれませんね。

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