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会社経営に必要な数値指標(ROE・ROA・ROIC)について解説

会社を経営をする上で必要な収益に関する指標として、様々な指標が存在しています。

株を100%保有しているオーナー企業であればあまり意識したことのない指標かもしれませんが、IPOや第三者割当増資などの自分以外の出資がおこなわれた時点で、株主に対してどれだけ儲かっているのか?を説明したり、理解してもらうためにも経営者自身意識しておかなければならない指標です。

今回は特に大切な3つの指標について解説します。

ROE(自己資本利益率)

Return On Equityの頭文字をとったもので、自己資本利益率=株主資本利益率ともいわれています。

簡単にいうと、株への投資でどれだけ利益を効率よく得ることができるのかということを表していて、株主の視点での収益性の指標になります。

投資家は基本的に利益の追求を重じている傾向が強いため、シンプルにROEのような指標を大事にしていたりします。

ROEは基本的に10%を上回ると優良な企業とされており、投資する際の基準値としても使われています。

日本の平均は5%程度とされているため、5〜10%を推移している企業であれば投資対象として検討する余地があると言えます。

ROE=当期純利益(会社が1事業年度の営業活動で株主全体にもたらした利益)÷自己資本(株主出資のお金など返済する必要がない資産)×100%

の計算式で出すことができます。

ROEの問題点としては、他人資本が見えないという部分です。

他人資本とは銀行借入などのことを指します。

例えば、極端ですが純利益が5億、自己資本が10億の会社があったとします。

ROEの計算式に当てはめると、5億÷10億×100%=50%となります。

一見、かなり収益率の高い会社に見えますよね。

しかし、ここには他人資本が含まれていないので、もしかしたら他人資本を20億抱えているかもしれません。

投資の判断に借入等は考慮すると思うので、ROEの指標だけで投資判断するのはここが限界ということになります。

ROA(総資産利益率)

そこで、もう一つの指標として大切なのがROA(Return On Asset)という指標です。

総資産利益率のことで、ROA=当期純利益(会社が1事業年度の営業活動で株主全体にもたらした利益)÷総資産(自己資本+他人資本)×100%という計算式になります。

ROEが自己資本のみで算出するのに対して、ROAは他人資本も交えて計算します。

つまり、総合的な収益性を知るための指標で、効率よく資産を使えているか?を把握することができます。

ROAは基本的に5%を上回ると良いとされていますが、これは業種によって様々です。

ROAの問題点としては、取引先に対する交渉力を反映できないという点があります。

買掛金を留保するなど、発言権が強い企業はある意味資産をコントロールすることができます。(買掛金=資産に分類)

なぜROEとROAが存在するの?

ROEとROA、どうせならROAだけあれば良いのではないか?と感じる方がいるかもしれません。

本当にそうでしょうか?振り返ります。

ROE=当期純利益(会社が1事業年度の営業活動で株主全体にもたらした利益)÷自己資本(株主出資のお金など返済する必要がない資産)×100%

ROA=当期純利益(会社が1事業年度の営業活動で株主全体にもたらした利益)÷総資産(自己資本+他人資本)×100%

という計算式でしたね。

この計算式からわかることとして、ROAは企業全体の収益性を把握することができ、ROEは自己資本(株主出資に対しての)収益性を把握することができます。

つまり、ROEは株主が自分のお金をどう使ってどのように儲けたか?を把握するための指標で、ROEもとても重要な指標となります。

企業経営側はROA、株主側はROE、といったことをいう方もいますが、おおよそそのような感じです。

ROIC(投下資本利益率)

ROEとROA、それぞれメリットデメリットがありますが、それぞれの問題点を解決する指標として、ROIC(Return On Invested Capital)ロイックというものがあります。

ROICは、投下資本利益率を把握する指標で、計算式は

ROIC=税引後営業利益÷投下資本(有利子負債+株主資本)

となります。

ROICが優れている理由

ROICは、出資者や銀行などの債権者から調達したお金に対して、どれだけ利益を出しているかを把握する指標です。

ROIC = 税引後営業利益 ÷投下資本(有利子負債+株主資本)であるため、小手先で操作することが難しく株主と債権者からの調達コストに対応した収益力を測定できるとされています。

事業に投下した資本でどれだけ効率よく収益をあげているかを把握するには、ROICが一番適しているとされています。

先述したROEやROAは、それぞれ操作できる部分があり、表面上の数字だけ見ても限界があると言いました。

それらを解決するのがROICです。

ただし、ROICはやや難解で現場に導入するのが難しいという側面もあります。

まとめ

ROE(株主資本利益率)は株主資本に対して、どのくらいのリターンを実現したかを表す指標です。

目線は株主で、財務的な手法で操作も可能。

企業全体の特性を示している指標ではありません。

ROA(総資産利益率)は総資産を使ってどれだけ純利益を出したかという指標です。

目線は企業経営者。

企業全体の特性を反映するのに適しているが、企業の強さによって買掛金等の資産を変動させる可能性があるという問題があります。


ROIC(投下資本利益率)は出資者や銀行などの債権者から調達したお金に対して、どれだけ利益を出しているかを把握する指標です。

目線は企業経営者。

企業全体の特性を反映し、優れた指標であるがやや難解で現場に導入するのが難しいという問題があります。

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